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海よりも速く、空よりも安く:上海-日本間のフェリー 第1章 サービスの概要

フェリーというと、旅行や観光で乗る船と思ってしまいますが、貨物の輸送にとっても、大事な輸送手段になっています。日本と中国の定期航路は、コンテナ船によるものだけでなく、フェリーやRORO船によるサービスもあります。

コンテナ船に比べると小型になりますが、寄港地を限定していることから、航海日数が短く、しかもホットデリバリーサービス(HDS)による早期のデリバリーも可能です。一般の定期コンテナ航路では、船会社による小口貨物の取り扱いがありません。小口貨物の取り扱いは、国際複合一貫輸送(International Multimodal Transport)を行うフォワーダーが行います。戸口から戸口へ(Door to Door)「海よりも早く、空よりも安く」を合言葉に高速の海陸複合一貫輸送サービスが提供されています。以下にどのようなフェリーサービスがあるか分かりやすくご紹介いたします。


日中間フェリーサービスの重要性

一般的に航空貨物は、速いけれども運賃が高いと言われています。

それに比べると海上輸送の方が、運賃が安くなります。


【上海~日本間の定期コンテナ船航路の配船形態】

(定期コンテナ航路のメリット・デメリット)


上海~日本間の定期コンテナ航路においては、次のようなパターンがあります。


上海
東京・横浜・名古屋のループ
上海
大阪・神戸・名古屋のループ
上海
大阪・神戸・博多のループ


上海からの航海日数は、最初の港まで3日かかります。これは最大速度ではなく、経済速度(約14ノット)で航行するためです。もし速度を早めれば上海~大阪/神戸間を2日で航行することができます。(上海から大阪は808マイルあり、最大速度が17ノットのコンテナ船が航行すれば、2日で到着します)

全ての船会社が、このパターンに当てはまるわけではありませんが、日中航路に投入している本船は、上海の外高橋コンテナターミナルを利用しているので、平均して1000~1500TEU積みのコンテナ船を使用しています。これは、外高橋コンテナターミナルの水深が、12~14メートルであるためです。

大型のコンテナ船は、喫水が、15メートルぐらいになるので、外高橋コンテナターミナルは使用できません。従って、1500TEU積みの本船であっても、日本向けの全ての港の貨物の量は積みきれません。

そのため、上記のように3つのループが必要になってきます。それに加えて、航海日数を短くするために、なるべく寄港数を少なくすることで、航海日数を短くするという目的もあります。

上記のループの場合、名古屋港と博多港が最後になっていますので、輸入の場合、上海を船が出てから、他の港を寄港するので、到着までに時間がかかります。貨物の到着を急ぐ場合は、別の船会社のスケジュールを見て、名古屋が最初の寄港地になっている船会社のサービスを探さなければなりません。




【上海から2日で到着するフェリー】

それに対し、上海と大阪・神戸の往復だけであれば、上海からは2日間で到着し、しかもホットデリバリーサービス(HDS)を行えば、到着日に輸入通関して荷渡しができるというメリットがあります。

フェリーサービスは、航空便と定期コンテナ航路におけるデメリットをカバーして顧客のニーズに応えるサービスとして、人気があります。


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 国際複合一貫輸送の必要性

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日中間の定期コンテナ航路においては、船会社が小口貨物の取り扱いをしないことから、小口貨物の取り扱いに関しては、国際複合一貫輸送業者に依頼することが必要となります。国際複合一貫輸送(International Multimodal Transport)とは、同一の運送人が、2つ以上の異なる輸送手段を用いて、貨物の引き受けから引き渡しまで一貫して運送を行うものです。2つ以上の輸送手段とは、海陸、空陸、海空等の組み合わせです。海上では船舶、陸上ではトラック、鉄道、さらに航空輸送を組み合わせます。

そのような国際複合一貫輸送を行う会社をNVOCC(Non-Vessel Operating Common Carrier)と呼んでいます。船舶や航空機などの輸送手段を利用して、一般貨物の輸送を戸口から戸口へ(Door to Door)責任をもって輸送する輸送事業者を言います。

NVOCCの定義については、1984年、アメリカ合衆国の「海事法」で初めて定義されました。アメリカの広い地域に点在する荷主にとっては、トラック輸送と海上輸送を組み合わせ、一貫して目的地まで輸送してくれる会社は、とても便利だったからです。

日本においては、独立してNVOCCとして営業する会社は少なく、殆どが倉庫、トラック、通関を行う海貨業者の会社が、NVOCCとして小口貨物を受ける形が発達しました。従来から、日本の海貨業者は、工場出荷から保税倉庫までの輸送やコンテナにバンニングする作業や通関や船積みに関する業務などを担当していました。

複合輸送の概念が無い時代は、港から港へのサービスがあれば、輸入者は、港まで貨物を受け取りに行きましたが、時代が進むにつれて、内陸で貨物を受け取るDOOR TO DOORのサービスが発達すると、それが輸送の常識となっていきました。

複合一貫輸送は、海外の目的地までの一貫輸送であるので、海外に支店や代理店を持ち、海上輸送から陸上輸送の切り替えも手配する必要がありました。日本だけの船積みだけの仕事だけでは、将来性がないために、日本の倉庫業の会社も海外に進出していきました。


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 日中間での複合輸送の歴史

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日中間の輸送の歴史は、最初は一貫して貨物を請け負うという形ではありませんでした。大手企業に付随した形での元請けとしての立場から、中国に事務所を置いて物流の手配を行ったことから始まりました。その代表的な会社としては、日本通運、日新、山九の3社です。

最初の仕事は、日本中国から材料を輸出輸入して完成品を輸入輸出するという加工貿易のフォワーディング業務が中心であり、中国からの船積み、日本での荷揚げ後の通関、配送業務が中心でした。

日新は、3社の中で最初に中国事業に乗り出した企業です。日中国交正常化の以前、1955年に「中国展覧会」の関連物資を輸送したのがきっかけとなりました。他の企業と同様に中国に生産拠点を移した組み立てメーカーに日本から部品を供給し、完成品を日本に輸出するという形でスタートしました。1974年に香港、1992年に上海、1995年に常熟、1997年に南京、1999年に天津、2000年に北京、2003年に広州に事務所を開設しました。また、中国の経済発展に伴い、中国国内の物流のネットワークの体制を強化しました。2000年には、日系企業では初めて中国での冷凍・冷蔵輸送事業にも参入しました。さらに2003年、シノトランスに大規模な出資を行い、協力関係を強化しました。これにより中国国内の300以上の拠点を活用することになり、中国の国内輸送の充実をはかりました。

山九は、1972年日中国交回復後、1973年に香港に事務所を開設、1975年に武漢製鉄所プラント輸送の実施、1979年に宝山製鉄所プラント輸送の実施、1981年に北京に駐在員事務所を開設、1984年に上海に駐在員事務所を開設、1985年に広州に駐在員事務所を開設、1986年に天津に合弁会社を設立、その後次々と中国に事務所や倉庫の拠点を広げていきました。1993年に大連、深圳、1996年に上海、1997年に広州、青島、南京に開設。その後は、中国の蘇州、張家港、無錫、嘉興、杭州、寧波、煙台、瀋陽、長春など、中国内陸にも広げて、武漢、重慶、長沙、成都などの事務所や倉庫の拡大をはかりました。その他、2009年に華南地域の珠江デルタ地区に華南物流センターを開設しました。

複合輸送の必要性が出てきたのは、1990年代の半ばから、生産ラインに結びつくジャスト・イン・タイムのデリバリーの必要性から、3PL的なサービスを求められるようになりました。

しかし、中国には多くの規制があり、簡単にその業務を主体とする企業を中国に置くことができませんでした。2001年に中国がWTO加盟によって、規制が緩和され、多くの日系企業が中国に進出していきました。

こうした動きの中で、日本通運は2002年に香港に中国室を置き、従来の駐在員事務所を再編成し、上海、蘇州、厦門、珠海に現地法人を置きました。上海~博多間を高速RORO船で結ぶ「上海スーパーエクスプレス」の運航を開始し、DOOR TO DOORの輸送を始めました。その後、上海に拠点を移し本格的な日中の複合輸送が始まりました。

このように最初は、企業との関連性が強い輸送事業として国際複合一貫輸送が始まりました。現在では、グローバルに多数の一般的な企業からの依頼を受けて、NVOCCとして成長を続けています。

中国で物流業の外資進出を認めたのは、2006年6月です。中国では、「国際物流業務」と「国内物流業務」に分類し、それぞれライセンスが必要となっています。

中国の保税地区には、他の国に無い特徴があります。それが「保税物流園区」です。区域内での取引に関して、日本の消費税に相当する「増値税」と「関税」が保留される保税区の中に、さらに特殊区域を設ける園区があります。園内では、非居住者(外国法人)の名義で在庫を保管でき、園区からの入出庫が輸出入として扱われます。このため、中国国内の取引先が外貨決済を希望する場合でも、そこで引き渡しが可能です。

保税物流区では、物流会社、貿易会社の進出が可能です。物流会社を設立する場合は、国際物流業務を手掛けることが条件となっています。貿易業務も追加できるので、物流業務以外にも貿易業務代行もできるようになります。国際貨物運送代理会社として設立した現地法人は、国内貨物運送代理の業務内容を追加すれば、中国の国内の輸送も可能です。

現在では、その他の大手企業、三菱倉庫、三井倉庫、住友倉庫、近鉄エクスプレス、ケイヒン、上組、丸全昭和運輸、大森回漕店など、その他の港運関連企業、メーカー系では、日立物流、アルプス物流、商社系の三菱商事ロジスティクス、三井物産グローバルロジスティクス、住商グローバルロジスティクス、丸紅ロジスティクス、伊藤忠エクスプレス、船社系では、郵船ロジスティクス、商船三井ロジスティクス、ケイラインロジスティクスなどが、中国にNVOCCとしての事業も展開しています。

日中複合一貫輸送は、1980年に中国対外貿易運輸公司(SINOTRANS)と日本通運、日新、三菱倉庫、山九が複合輸送代理店契約を結び開始しました。翌年、中国外輪代理公司(PENAVICO)も参加しました。他のフォワーダーも中国側のパートナーとして、SINOTRANSかPENAVICOとの代理店契約を結び、日中複合一貫輸送を行っています。


次章は上海~日本の主なフェリー会社をご紹介いたします。


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